映画・感想

映画感想:「ブルーピリオド」

2024年製作/115分/G/日本
配給:ワーナー・ブラザース映画
あらすじ
ソツなく器用に生きてきた高校生・矢口八虎は、美術の授業の課題「私の好きな風景」に困っていた。悩んだ末に、一番好きな「明け方の青い渋谷」を描いてみた。その時に絵を通じて初めて本当の自分をさらけ出せたと感じ、美術に興味を持ちはじめ、のめりこんでいく。そして、ついに国内最難関の美術大学への受験を決意するのだが…。立ちはだかる才能あふれるライバル達。正解のない「アート」という大きな壁。経験も才能も持ってない自分はどう戦う!? 八虎は【自分だけの色】で描くことができるのか。
公式サイトより

以下、雑感

いやよかった。PVが爆良かったので即観に行った原作ファンです。八虎たちの葛藤、生の声で姿で演じるとまた重さや味わいが違いますね。眞栄田郷敦さんの手先の色気はヤバい。あと龍二のキャスティングは大成功と言えよう。

好きでした。

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かなり気合い入れて作ってるのが画面から伝わる気がしました。原作の「ここ!」ってところを逃さず描いていてよかった。森先輩の絵を見るとことかよかったな。シンっ…て空気が静まる感じ。

眞栄田八虎は原作の”ヘラヘラ”は少なめでしたね。でも俳優さんの静かな雰囲気の中で感じてる世界、悩みや恥や覚悟など。なんだろ、八虎の内面が等身大で伝わってきたような気がする。

実際に手を動かして描いてる様や、絵の具の重なっていく様子、季節の移り変わりを見ていくと、八虎の積み重ねの現実感が増して余計胸にきましたね。

「お母さんの絵」のポーズが変わったのは良改変ではなかろうか。

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鮎川龍二。高橋文哉さん。

すげえよかったな。なんかうまく言葉にできないけど。「あ〜鮎川龍二ってこんな感じだ」

って素直に思ったというか。めっちゃ女!!!でも女装!!でもない、全力で自分の形を作ろうとしてる鮎川龍二だーと、なんか偉そうな言い方になってしまいますがひと目でわかったというか。キャストさんはじめ作り手の試行錯誤の密度が芝居から伝わってきました。

特に、やっぱり海のヌードデッサン。ちょっと浅い感想かもしれないけど、服脱いだ時の肉の付き方が「すげえ鮎川龍二」だと思ったんですよね。合成かな?作ってきてるよね多分。ウィッグとかじゃどうしようもない下半身周りの筋肉具合が美しい。

美しいっていうのはちゃんとキャラをわかって身体作りまでしてるのが伝わってすごいという意味で。そういう意味でも真剣さがわかってなんか見入ってしまった。

眞栄田八虎の「男の身体」との対比もあってよりね。眞栄田さんはセクシーすぎる。全然日焼けしてない美術部の身体か?いや悪い意味でなく。うまく作用してたな、と。

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眞栄田郷敦は肘から先がエロい。ごめん。

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だがびみょ〜に解釈違いな部分がチラホラ。

最たるところは世田介くん。あの「縁」の絵のパートで八虎への指摘で吹き出してたけどおんなことするお人でしたっけ???

あれ、私が見落としていただけで原作でも笑ってたかしら。あんな嘲笑するような人柄だったか……。なんかそっから世田介くん周りスッと入ってこなくなっちゃったな…。

あとは恋ちゃんにピックアップするのは作劇的にもわかるんですが、「青い絵」の時の3人のリアクションとかなんか違和感がね。最初から理解ありすぎの台詞がなんかね。バカにするとは違くて、最初は「?」ってなってるとこの「渋谷か?」が刺さるんじゃね〜〜〜〜〜の???

って思っちゃった。あそこすごい好きだからさ…。初めて”会話”するとこだからさ

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エンドロールの、絵が全部出てくるのも好き。勝手に”積み重ね”もテーマのひとつだと思ってるので。

ミーハーだけど、自分も描いてみたい。って思っちゃうよね。やっぱり根っこにある”表現する欲”みたいな物が熱を持つのを感じる。すごく素敵な話だよ「ブルーピリオド」。

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色々あったけど、実写化によって各キャラたちに「圧」のようなモノが生まれた感があって。それを感じられたのがすごくよかったな。より一層漫画の中の彼らを好きになれた気がする。

ドラマ化とかしないかなぁ〜〜大学編。八雲とか見たい。