観劇・感想

観劇感想:【WEB配信】国際交流基金 STAGE BEYOND BORDERS『わが星』

作/演出:柴幸男
会場:三鷹市芸術文化センター 星のホール
チケット料金:YouTube無料配信(公演時は500~3.800円)
上演時間:約90分

公演の説明
劇団”ままごと”の傑作、「わが星」が、日本の優れた舞台公演作品をオンライン配信するプロジェクト「STAGE BEYOND BORDERS」にて、2021年10月20日からYouTubeで公開された。
2015年5月23日(土)に収録した映像で、公開日から1年間、6ヶ国語の字幕付きで無料配信されている。

配信ページ:mamagoto “Our Planet”【SUB】
劇団HP

あらすじ
夜空に瞬く無数の光 今そのひとつが消えた
そのことに誰も気がつかない だって夜空は広すぎるから
かつて あの星には色んな人が住んでいて
幾度となく争いあって慈しみあって そして静かに滅んでいった
僕は彼らを思い出す いつか僕のことも誰かが思い出すのだろうか
あの星の話をしよう そこに暮らしていた人々の話 今はもう誰も知らない話

キャスト
大柿友哉(害獣芝居)、黒岩三佳(キリンバズウカ)、斎藤淳子(中野成樹+フランケンズ)
寺田剛史(飛ぶ劇場)、永井秀樹(青年団)、中島佳子
端田新菜(ままごと|青年団)、山内健司(青年団)

以下:雑感

宇宙の誕生、星の誕生を。なんも「無」いから。から軽快なリズムの台詞回しで送る。

恥ずかしながら本家は初見。

舞台は円形舞台。真っ白いサークルの周りをキャスト陣が絶えずグルグルと廻り続け、物語は進む。
時には円の中に入り、時には外から観測され。
円の中は星々や人の営み、円の外は観測者である人間(先生)の過去と現在。

リズミカルな一糸乱れぬ群読で目を、耳を離す暇がない。
しかし完成されたパフォーマンスは五感全部に心地良い。

最後はちょっと切なく温かい気持ちになりました。

*****
これを初めて脚本で見た時はどんな気分だったんだろう。どんな景色だったんだろう。

今でこそ有名な演劇で中身も知れ渡ってますし、様々な演目に影響を与えてきていると思うんですが、
当時は(これは初演ではありませんが)きっと今まで誰も観たことないような景色があったんではないでしょうか。

客席からそれを垣間見れるのはなんとも幸せです。

*****
地球の(人類の?)歴史を、地球の擬人化「ちーちゃん」の家庭を投影してお送りする芝居パート。

リズミカルな台詞回しも変わらず、少しずつ変化する日常の一幕が氷河期やロケットなどの生物の進化をネタにしていてクスッと笑える。
見れば見るほど濃ゆくてよくできた話だなぁ。すごい。

小さな家族の話と壮大な宇宙の話。親近感とファンタジーが行ったり来たり。
ワードセンスも抜群。面白い。

*****
天体目線とそれを観測する、見守る人間目線の二つの場面。

どれだけ思っても届かない。見守り続けるしかない寂しさ。

光速の果てしなさを思い知らされます。それでも時空を超えてたどり着こうとする、してきた人類の研鑽。
なんだか観ているだけのこちらまで愛おしくなるような気がします。「インタステラー」を観た時のことを思い出しました。

ホントに色んな要素が詰まってますよね。「先生」の過去の自分に語り掛ける様もSF映画を観てるような感覚になって楽しい。

観終わったら相対性理論にも詳しくなったような気になりますね。そんな気だけ。

*****
宇宙や世界を想う時、とても透き通った気持ちになって心地が良いです。

沢山のたくさんの人が想いを馳せた世界を感じさせてくれる、とても素敵な演劇でした。

この一年の間に多くの人が触れられますように。