作/演出：そめやみつ
会場：ぽんプラザホール
チケット料金：1,500～3,000円
上演時間：約70分 ※公式サイト
公演の説明
福岡の劇団”マジカル超DXランド”の第二回公演。
◇演劇×合唱の新感覚パフォーマンス◇オペラやミュージカルとは異なり、舞台役者と、役者の心情や情景描写を担当する合唱に分かれて進行します。場面によっては、出演者全員が役者となって場を動かしたり、全員が合唱で情景を描いたりします。
あらすじ
私、松下カナコの仕事は夢帽子を作ること。被るだけでなりたい自分を体感できる魔法の帽子。でも、海堂さんの作る夢帽子はあまりに強力だから、皆、夢帽子の世界に引き籠もってしまったみたいなんだ。だから、私は辛い思いを抱える人達になれる夢帽子を作ることにしました。そうすれば、皆が目を醒まして、本当の生き甲斐に向き合えるようになると思うから。
キャスト
高松美果 古賀駿作 片山桃子 稲益康朗 はらだのぞみ そめやみつ 片山乃彩 中村賀亮 呉若塵 PeterMathes 大坪亮太 藤田優矢
以下：雑感
すげえオモロい〜〜〜。好きな鬱SFだ。ストーリーのエグみがすごい好き。合唱そのものの良さはわかりませんが無機物なはずのAIから奏でられる「生」の歌声という矛盾が作中の不気味さをめちゃ際立たせてて最高。しかし古賀駿作劇場だった。古賀駿作を堪能する演劇だったと言っても過言ではない。（過言かもしれない）最近の若手団体では一番上等かも。これからも追っていきたい。
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劇場の飾り気が薄すぎてビビる。ホワイエこんなになんにもない団体も珍しい。
ぽんプラザ。客席はパイプ椅子のみ、40席くらいか？舞台と席の間に、なんだろう。三角形の小さなポップが沢山置いてある。色々紙が貼ってあってカラフルだ。ヨットが沢山浮いてるみたい。舞台上。二段重ねのシンプルなステージが組まれている。蹴込みだけ黒い。上部はなにもなし板目。裸の箱馬が9個。スタンドが4.5本立っていて様々な職業の帽子が刺さっている。どんな芝居か全然わからん。
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前回旗揚げはディストピアをぶっ壊す話でしたが、今回はディストピアができるまでの話。中盤の展開からの畳みかけがすごかった。あれよあれよという間に変化していく社会に置いて行かれる感じ。うすら寒い。
技術革新によってマジョリティ（健常者）とマイノリティ（身障者）の逆転が起きる。実社会でもあちらこちらですでに起きてる部分もあるし、SFと社会問題のまぜこみが上手だ。方向性が社会のIFを描いているものだから当然っちゃ当然か？いや上手いよね。好きだ。
でも根っこは”人間”だよなぁ～。薄っすらシンママとか見下しちゃってる松下（高松美果さん）、自分のコミュ障を棚に上げて技術面で松下のこと内心見下してる森サトミ（片山桃子さん／富永真由さん）。互いの傲慢さが歪みを生んでいく。小さな傲慢さから取り返しのつかない崩壊が始まっていくのかな。海堂（稲益康朗さん）のフットワークの軽さも人間っぽくて良かった。
理想論はみんなニコニコ手を取り合っていくことかもしれないけど。どんな違いがあってもそれぞれが出来るところ探して共存していくことかなぁ。多様性に他人も自分もはめ込もうとすると無理が生じるのか。互いにもっとほったらかし合うことが必要なんじゃないかなぁ現代人類。無理に”同じところ”に収まろうとするとうまくいかないよね何事も。わからんが。
そんなこと思う観劇後。
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壊れデリバリー（古賀駿作さん）の緩急とテクがえぐいですねぇ～～。めっちゃ笑っちゃったし引っ張りこまれてしまった。シンプル声がバカでかいから静と動の落差がすごい。あの激しさが森サトミ（片山桃子さん／富永真由さん）の本心だとすると怖いですね。一人で落語みたいになってるの面白かった～。あれをスッと成立させられる人そうそういないですよね。ラストの自我もホントか嘘かわからない。どっちだろう。
どんだけパワー持っても脚は引きずったままなのはオタク的に高得点。ビジュ面で。
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夢帽子みたいな”使うだけで気分が変わる。理想の自分になれる”の始まりってなんだろ。もしもボックスとかムードオルガンとか。体験や快感をお手軽に摂取できるようになると便利な反面、猛スピードで道路飛ばしてるみたいなもので事故率も上がるのかな。SFっぽい気がする。現代もドンドン近づいてる気がしますね。「その時」まで。
必要なアナログもあるよなぁ。便利さに群がっていく人類。蛾見たいで美しいね。グロい。演劇でグロさしっかり表してくるの素敵だ～。
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言魂の俳優さんって降板多くない？無事観られたのでいち観客としては無問題ですが。
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旗揚げから見続けられてるのかなりラッキーかも。そめやさんの世界観すごい好きだ。際限なく売れてほしい。次はどんな世界かなぁ。楽しみです。
