観劇・感想

観劇感想:万能グローブガラパゴスダイナモス第28回公演「バ・グガヘラヌ」

作/演出:川口大樹
会場:福岡市美術館ミュージアムホール
チケット料金:1.000~5.500円
上演時間:約135分

公演の説明
福岡の劇団、万能グローブガラパゴスダイナモスの第28回公演。
前回の甘棠館Show劇場でのロングラン公演「ほとんどの夜になまえはない」からおよそ一年ぶりの本公演。

公演特設サイト 

あらすじ
婚活パーティinオンラインゲーム。参加者同士プレイを通じて親睦を深めていこう、そんな趣旨で参加している未婚の人々。
わーきゃーなイージーミッジョンで大盛り上がり…のはずが超ハードな設定に。
台地は割れ、悪魔の軍勢は押し寄せ、ドラゴンは火を吹きまくる。とてもカッコつけていられない状況に、隠していた本性本音がボロボロボロボロ。
実は既婚者の男、疑った妻に送り込まれた探偵、関連会社のお坊ちゃんとその接待係etc…
バグと恋の渦に翻弄される人々はついつい光のオーブを全部割ってしまってなんか魔王も復活して、ああもう、うまくいきません!全部!

キャスト
椎木樹人 山崎瑞穂 石井実可子 野間銀智 友田宗大
古賀駿作 脇野紗衣 杉山英美 関岡マーク 深川詞梨(The Jugons)

以下:雑感

いや~楽しい!さすがのガラパの本公演。掛け合いやネタのセンスは最高。
しかしオチは正直びみょ~~…というか。
ジェットコースターの登った先が平坦なゴールだったような、切れの悪い後味でした。

*****
劇場は福岡市美術館ミュージアムホール。ガラパさんとしては2019年のの「甘い手」ぶりなのかな。
美術館のホールが既に非日常感を出してくれてとても楽しい。

舞台は主に3つのエリアに分かれている。

中央がメインのアクティング。一番広く、奥に向かって階段2段で小上がりになっている。
さらに奥、段の下のホリ前は空間があるようで、劇中モンスターのしっぽが顔を出す。

カミシモで二つ。高さを変えてラウンジのようになっている。

中央が主にゲーム空間。カミシモのエリアは主に現実のゲーム会社の空間になっている模様。
物語の進行でその限りではないようですが。

舞台の装飾は花やガラクタのようなものは散りばめられている。まさにバグが溢れ出したような外観。迫力もあってステキだ。

*****
物語は大人気のオンラインゲーム「ワンダーワンダークエスト」のゲーム内から始まる。

ベテランプレイヤーのギルド「雷鳴の騎士団」が高難度クエスト「沈黙の森攻略」に挑んでいる。
クエストのクリア条件を満たし、無事クリスタルを手に入れたと思ったが、直前の仕様変更によってクリア条件が追加されてしまっていてクリアに失敗してしまう。

追加されたクリア条件は「ラブ属性ギルドとの共闘」。

今までストイックにプレイに専念していた騎士団のリーダーは難色を示すが、クエストクリアのために他ギルドと組むこととする。

一方現実世界では、開発者である女性が頻出するバグの処理にてんやわんや。
当初純粋なRPGだったはずの「ワンダーワンダークエスト」をマッチングアプリとして利用しようとする運営会社に辟易していた。

意に添わぬ仕様変更やゲームイメージと合わないコラボ企画などの度重なる無茶ぶりをなんとかこなし、躱していく。
そんな中、社内7ではなかなか利益につながらないWWQのサービスを中止する動きが出てきていた。

サービス中止を回避する条件は、「今月中に沈黙の森を攻略し、虹のクリスタルを入手すること」。

騎士団に希望を託す開発者。
合コンムードになってきてゆるい感じのパーティとともに、バグだらけのゲームをクリアすることができるのか。

みたいな。

*****
前述のとおり掛け合いやネタのセンスがは高くてとても楽しい。

しかし「ネットゲーム」という題材のせいだろうか。
設定の細かい部分が気になってしまって120%のめり込めなかった気がします。

まずこのゲームってどんなゲームなんだろう。最初はVRとかなのかな。とか思ったんですが、スマホでもできる感じっぽくて。
自分の脳内で変な”ズレ”が出来てしまった。
ゲーム内での「ゲームっぽさ」がすごく薄くて、まさしく”ゲーム芝居”だったな。

いや別に全然マイナス要素ではないし、ガラパさんはみんな演技も達者で見応えあるんですけど…。
これゲームである必要性あんのかなって感じてしまって、変な引っかかりを抱えたまま見てしまいました。
指スワイプしながらあんなナチュラルな動きなんだろうか。イメージ映像ってこと?「サマーウォーズ」のゲーム空間的な。

現実世界でゲームをプレイしている彼ら彼女らが想像できなくてなんだか気持ち悪かったな。

*****
「フリー・ガイ」みたいなことがしたかった感じなのかな。

個人的には最後の逆転の畳みかけが上手く連鎖していかず、ブレーキを小刻みに駆けて行ってるように感じて最後ノれなかったな。

何が原因だったんだろうか。

ガラパさんの得意とするところ。強味ってやはりワンシチュエーションのドタバタと取っ散らかった展開が収束していくカタルシスだと思ってるんですが、
今回はリアル↔ゲームと行ったり来たりする視点の切り替えが上手くいってなかったのでしょうか。

私の見方の問題かなぁ。

運転の時のハンドルと後部座席の二人の体重移動逆じゃなかったかなぁ。
ハンドルと逆側にGがかかりますよね。
リアルよりの演技で観てたから、そういう小さい違和感も冷めてしまった一因かしら。

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椎木樹さんの演じるミハエルのキャラクターはすごく好きでした。
夢と居場所を求めて葛藤する姿がすごくジンときました。

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総合的には楽しい演劇でした。

4月の北九州も楽しみにしています。
なんと言っても傑作「甘い手」。期待大です。