映画・感想

映画感想:「ゴジラ−1.0」

2023年製作/125分/G/日本
配給:東宝
公式サイト

以下、雑感

良かったぁ〜〜泣いたぁ〜〜。「ゴジ泣き」と公開前から揶揄されておりましたがこんなポジティブな意味に転換するとは。ツッコミどころや粗いところはそりゃあありましたが敷島(神木隆之介)の心情に寄り添って取捨選択した描き方で、めちゃくちゃ没入して観られた。ていうかゴジラ怖すぎビジュアルよすぎ。熱線シークエンス好きだった。良質なモンスター映画でした。

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令和の今だから作れた”ゴジラ映画”だったのかな。反戦的な傾向がわざとらしいくらいありましたが、その辺も時代とともに変わってきますね。

日本兵のPTSD描写ってそういえばあまり観たことないな。私が不勉強なだけかもですが。当たり前ですが生き残った人たちでも両陣営ともに”まとも”じゃいられない時期があったんですよね。
敷島が顕著でしたが、みんなサバイバーズギルトというか。シンプルに「助かってよかった〜」ともなれない罪悪感に苛まれ続けた人が山ほどいたんだろうな。なんとか”次”の世代は幸せでいてほしいと願いながらも懸命に生きてるけど、
反面どこかで”生き残ってしまった罪”を償う機会をずっと窺ってるんじゃないか。ほんとはそんな罪ないのに。戦後間もない東京であんなに「やったるぞ!!!」な人がいないのには正直違和感がありましたが、今回は今回はそういう”マイナス”の傷のほうに焦点を当てた描き方だったんでしょうね。

でも若者は熱くなっちゃうんだよなぁ水島君。今回は良い感じに転びましたけどあの流れで無駄死にしていった命も山ほどあったんでしょうね。フィクションの中くらいはご都合でいいよ。素直に熱い展開だった。

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丁寧すぎるフリで先はある程度読めたんですが、イイ感じに裏切られました。
完全に”安全装置=脱出装置”だと思ってたんですが、普通に別に脱出装置ありましたねw 敷島に脱出を”選択させる”ことにこそ意味があったんだとあの場面でようやく気付きました。テーマ的にそりゃそうですよね。めちゃ集中してしまっていた。

「誰かが貧乏くじを引かなきゃいけない」
諦めとも違う、覚悟めいた潔さを感じました。1番好きな台詞。今のこの国の社会を憂いているのかな。私も含めてかもだが、今の若者たちはとかく「ハズレ」を引くのを忌避する傾向にありますよね。映画鑑賞ひとつとってもコスパだタイパだ、ネタバレ見てからじゃないと安心してエンタメにも触れられない。まぁこんな浅い話じゃないんですが飛び込む勇気のようなものが、人間にはいつも必要なのかも。そんなことを思ったりなど。

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「ワダツミ作戦」。ネーミングが良い。シンゴジの「ヤシオリ」と同じく日本神話繋がりなのかな。ゴジラシリーズでは定例?
私はゴジラシリーズは全然明るくないんですが、今回のゴジラの殺意が高えぇ~~~。噛んでは捨て噛んでは捨て、完全に殺すための動き。熱戦の威力も被害もえぐいしあれ三万人で済んだんか?吐く度に自分もちょっと溶けてるの好きだった。とげとげしい背びれも良い。

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気になったところざっくり。
・ゴジラの導線がわからん。速いのか遅いのか。いきなり街なかに現れないとあんな足元に人いないよね。めちゃくちゃ速いのか?
・爆風があるのかないのか。
・セットの”セット感”はもう仕方ないな
・あのボロ船に追いつけないゴジラ。そしてちょうどよく口に入る機雷。
・仕方ないけどピッチピチの赤子。栄養失調はまだだろ。
・やったか!×2・
・記者たち。近い!
・あとはまぁ作戦の大体が勢いと雰囲気とかとか。でも勢いで無視できたな。

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神木隆之介の新たな深みを見た気がする。なんとなくずっと少年な感じがあったけど、苦悩する大人の男に釘付けになりました。銀座での絶叫はキツいよ……。あれは叫ぶしかねぇ。そりゃー安否確認もできんわな。
ラストはご都合でもいい。生きててよかったマジで。3人での生活が本当に”始まる”んだなぁ。幸あれ。澄子さんも一緒に。でも首の痣がなぁ・・・。新たな闘いが始まるのか。

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エンディングの細胞ぼこぼこ。これこそモンスター映画のアレ。いやー痣と合わせてバッドエンドっぽいけど。でもたしかに前に進みましたよね。マイナスからまた這い上がれるのか。続編あってもなくてもいいな。今後の動きに期待。今回は動員とか気になっちゃうな。私は予想外に最高でしたが賛否両論絶対あるだろうし。一回ノリ損ねたら無理だろう。その辺の感想とかも込みで。楽しみにしておこう。