観劇・感想

観劇感想:劇トツ✖️20分2021(後半)

前半→劇トツ2021(前半)

前回の続き。

三本目は前回優勝団体、劇団言魂(北九州)の「ふわ」。

劇団特有の、透明感のある、でもどこかに人間の残酷さを感じさせる世界観でした。

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舞台は大きな装置が大雑把に二つ。

1つは舞台シモ手奥はけ口から桟橋のようなものが、中央までぐーっと伸びている。
最初崖かと思ったんですがマンションの屋上(多分)のようです。

2つ目はリビングのセット。シモ手前の桟橋の前辺りに茶色のダイニングテーブルのセットが。ニトリっぽい。
テーブルの上には写真立てが置いてある。

衣装は各々爽やかな感じ。全体的に洗剤のCMみたいなイメージでした。アリエール。

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今回のようなショーレ-スにおいては私の見方が悪かったと思うんですが、言魂さんの前回公演「こえの聴こえる」を見た後だと物足りなさをを感じてしまいました。
前優勝者に言うのは全く的外れかもしれませんが、作演の山口さんの表現したい世界は20分では尺が足りないんじゃないでしょうか。

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身体に風船をたくさん括り付けた女性が橋(屋上)を渡ってやってくる。
屋上から”飛ぼう”とする彼女だったが飛び降りと勘違いした青年に止められてしまう。
自殺を止めてくれたお礼に彼女の夫に部屋に招かれる。そこで彼女の真意を聞く。

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抑圧からの解放?とかがテーマなんでしょうか。
講評でも仰ってましたが、いかにもな感じの風船をあんなに前触れなくナチュラルに片づけられてビックリしました。

風船を割る=DVの暗喩というのもなるほどという感じ。
日常にさらりと混ぜてくる残酷さが癖になります。講評聞くまで気づきませんでしたが…

彼女は最後何をかんがえてたんでしょう。ラスト死んじゃったんですかね。
不思議にゾワ~っとする感覚が残りました。

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四番目は若宮計画(北九州)の「未」
劇中劇。結構熱めの芝居だと思ったんですが、ラストの仕掛けで急速に距離を空けられた気がして寂しくなってしまった。

劇中劇の終盤テンションが高めだったのもあって、なんでしょう。見放された感がありました。
しかし、全体を俯瞰してるというか。作者さんの視点が結構高いポイントにあるなあというのも見て取れて、審査員票がダントツだったのも納得。

でもキャストさんと結構喋りながら作ったと言ってましたし、私の考えすぎ?

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舞台シモ手に長机が一つ。どこかの稽古場みたいだ。
上半身裸の男性が二人。演劇っぽいなにか(劇ポニャカ?)の稽古中。
「劇トツ」に参加予定で本番まで残り2週間だそう。稽古も大詰めってとこのようだがここにきて団体の主宰が不倫してトんだらしい。

荒れる座組。そして飛び交う演劇論(劇ポ論?)。メンバー互いに吐きだしつくしたところで主宰から電話。果たして帰ってくるのか…?

といったところまでで”若宮計画のゲネプロ”でした。という作品でした。

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最初謎の演舞から始まってびっくり、というか三度目の肩車で驚いてしまって申し訳ない。

一見アホなことを熱量ゴリゴリでやられるの弱いんですよね。
客演の濱野さんは劇団ZIG.ZAG.BITEから客演さんだそうでこういうの得意だったんでしょうか。
濱野さんの熱量が結構キーだったように感じました。

作中出てきた団体名は実際の団体さんのもじり?わかんないけどちょっと笑ってしまった。
「かわいいですまされてしまった」というセリフからも、いろいろなご苦労が見受けられます。

前々作「カワイイイオンナ」の時もそうでしたがルッキズム的なモノに一家言お持ちなのかしら。作家さんのフラットな思考が個人的には好ましかった。

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講評で仰ってましたが、作中の固有名詞が多い&聞き取りづらく、それも距離が空いてしまった原因かな。とも。

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ラストは劇団小倉演劇部(北九州)の「桜坂殺人事件」

なんだ・・なんだこれ。わかんねえ。
というのが率直な感想です。

「演劇」の間口って広いんだなー。カオス?とも違う雑然。
なんでみんな笑ってるのか正直判りませんでした。

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舞台はカミ手に桜の木の書き割りが一つ。根元に男性が倒れている。

カミ手袖から探偵風の男がハムレットの台詞を言いながら現れる。

~~~んですがその後はなにがなんだか・・・なんだったんだろ。

最終的には歌ったり踊ったり。どっちかというと大衆演劇観てるみたいな感覚でした。おっさんの歌謡ショー。

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気付いたらみんな笑いだしてて何だろうと思ったんですが、アレもしかしてみんな小倉演劇部さんの身内だったのでは?
その後もなんかみんな舞台上の「稚拙さ」を笑っているように思えてノれませんでした。

講評では計算づくだったように仰ってましたがほんとかなぁ。

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以上5団体。

賛否ありますが総じて満足感の高い企画でした。
今年は色んな意味で全体の平均値が高かったような気がします。
ガラパさんの参入が大きいのかしら。

若手2団体も公演を経るごとにレベルが上がっているし、来年度もガラパさんの防衛もあるし。

楽しみがどんどん増えます。増やしてくれてるなぁと実感します。

一度倒れてしまった企画ですが見事な復活でした。

全然演劇負けないぞという気持ちにさせてくれた気がします。

まだまだどの団体もこれからも頑張ってほしい。応援します。

劇トツ2021、楽しかった!