観劇・感想

観劇感想:T-works「三文姉妹」

作:久馬歩 演出:チャーハン・ラモーン
会場:ぽんプラザホール
チケット料金:2,500円 ~ 6,300円
上演時間:約90分

公演の説明
関西を拠点として活動しているプロデュースユニット・T-worksのツアー公演。東京、愛知、大阪で上演され、福岡では”キビるフェス’23“のプログラムの一つとしてぽんプラザホールで上演された。※団体公式サイト
あらすじ
年に一度集合し、近況を報告し合う三姉妹。その年も例に漏れず集まったが、いつも以上に幸せそうな雰囲気。妹が結婚するから。そんな始まりのお話です。
※作者コメントより
キャスト
是常祐美(シバイシマイ)、原田樹里(演劇集団キャラメルボックス)、丹下真寿美

以下:雑感

三文

見応えがあって面白かった。しかし盛り上がりには欠けオチはない。これからもあの三姉妹のおままごとは続いていく、ということだろうか。仲良く盛り上がっていけばいくほど暗い事実がチラチラして切なくなってしまうな。

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ぽんプラザホール。かなり立て込んである。

舞台は元ドライブインの廃墟。しかし見た目はライトグリーンやベージュ系の衣裳の暖かそうなリビング。草も生えてたりして(荒れてるからか)魔女のお家みたい。ポップでやわらかい印象の可愛い部屋だった。三人の衣装もフード付きワンピースや白いロングドレスなどで御伽話っぽい。

でもよく見たら上の方に電飾看板の成れの果てみたいなのあってドライブイン感。

ハケ口は三方向くらいあったが出ハケはない。奥にひとつ別の部屋に続くドアと、シモ手にスライド式の格子窓。これまたピンクイエローでかわいい。終演後はそこから出ていかれました。

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久しぶりに福岡でしっかりした会話劇観たなぁ。歯応えがすごい。作演キャスト各スタッフの技量が窺えます。とはいえ読み取るほうにもかなりのエネルギーがいる感じだったな。隣のおじさん寝てたし。上手くノレなかったら後半まで辿り着けない。エンタメ的”わかりやすさ”は薄かった。福岡では珍しい。見慣れている「小演劇ファン」は大いに楽しめたのでは。客席結構まばらだったのは地方柄かなぁ。

しかしツアー公演最終地とは思えんイージーミスがちょこちょこあったな。浮いたダンボール蹴っちゃったの作品的に結構致命的だったと思う。あちゃーってなった。

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寂れたドライブイン。20年前の火事で亡くなった三人姉妹は死後霊体のまま成長し、大人の姿で今なお留まっている。空白を20年を妄想したおままごとをしながら年に一度来る(命日?)おとうさん的な人と会うのを楽しみにしている。オカルト雑誌に記事が載るくらいの有名心霊スポットになっており、時たま肝試し客がくるが脅かして追い返したり。死後も楽しく(?)過ごしている姉妹たちであった。

この世界、部屋の理というかルールがよくわからないままだったな。少なくとも私には読み取れなかった。おかげで三人の苦悩もよくわからないままだった。最期の最後までおままごとの姉妹ごっこだったというホラーオチなのだろうか。嘘の関係の上に嘘の人生を演じるおままごと。なんかやりきれないというか。お三方の芝居も上手いし、楽しく盛り上がれば盛り上がるほど「終わり」がわかんなくてなんかゾッとしました。巷では悪霊扱いされてるんじゃないか彼女ら。

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舞台装置楽しかったなー。劇場入ってすぐのインパクトでもう楽しくなっちゃう。物販のシャツもかわいい。

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また福岡に来てほしい。もっと沢山の人に観てもらいたいと思いました。そしてあーでもないこーでもないと話したい。そんな作品でした。